みずほ会計事務所
代表税理士 江尾 友宏
2011年に税理士登録。そして、2016年に独立開業。現在は地元・瑞穂市で「みずほ会計事務所」の代表税理士を務める。現在は、融資や補助金の活用、事業計画の策定を通じて、この街で事業を始める人を全力でサポートしている。また、地域の皆さんが相続や資産のことで不安を抱えずに暮らし続けられるよう、相続のサポートにも力を入れている。
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[税金]
法人版事業承継税制の特例を利用するために必要な「特例承継計画」の提出期限が、令和9年9月30日まで延長されました。
法人版事業承継税制の特例措置を利用するために必要となる「特例承継計画」の提出期限が、令和9年9月30日まで延長されました。
「期限が延びたなら、まだ慌てなくてもいい」
そう感じる経営者の方もいるかもしれません。
しかし、今回の延長には非常に重要な注意点があります。
法人版事業承継税制の特例措置そのものの適用期限は、令和9年12月31日のままです。
つまり、
特例承継計画の提出期限:令和9年9月30日
特例措置の適用期限:令和9年12月31日
この2つの期限の差は、わずか3か月しかありません。
岐阜県内でお子さんや役員への会社承継を考えている経営者にとって、今回の延長は「検討を先送りできる期間」というより、事業承継について具体的に動くために残された期間と考えた方がよいでしょう。
まず整理しておきたいのが、この2つの期限です。
法人版事業承継税制の特例措置を利用する場合、事前に「特例承継計画」を提出する必要があります。
この特例承継計画について、新たに提出できる期限が令和9年9月30日です。
一方、法人版事業承継税制の特例措置は、令和9年12月31日までの贈与・相続等が対象となっています。
国税庁も、特例承継計画の提出期間を令和9年9月30日まで、特例措置の適用期限を令和9年12月31日までと明示しています。
したがって、
「令和9年9月に特例承継計画だけ出して、そのあとゆっくり考えよう」
という進め方では、実際の株式承継までに十分な時間を確保できない可能性があります。
事業承継は、単に書類を一枚提出すれば終わる手続ではありません。
実際には、
・誰を後継者にするのか
・現在の自社株はいくらなのか
・何株を後継者へ渡すのか
・贈与で渡すのか、相続まで待つのか
・事業承継税制を利用するのか
・他の相続人とのバランスをどうするのか
といったことを整理する必要があります。
さらに、自社株評価、特例承継計画の作成、認定経営革新等支援機関による確認、都道府県への申請、贈与や相続に伴う税務手続なども関係します。
そのため、令和9年9月30日から12月31日までの3か月を「事業承継を考えるための期間」と考えるのは現実的ではありません。
令和9年9月30日はゴールではなく、それより前に方向性を決めておくべき期限です。
岐阜県には、製造業、建設業、運送業、卸売業、サービス業など、地域で長年事業を続けてきた中小企業が数多くあります。
こうした会社で事業承継を考える際、非常に重要になるのが自社株の評価額です。
非上場会社の株式は、上場会社のように市場で株価が表示されているわけではありません。
そのため、
「うちの会社の株なんて、それほど価値はないだろう」
と思っていても、実際に評価してみると高額になっているケースがあります。
特に、
・長年黒字を続けている
・会社に利益が蓄積している
・現預金や不動産を多く保有している
・創業から何十年も経っている
といった会社では、自社株評価額が高くなっていることがあります。
会社を後継者に引き継がせる意思が決まっていても、株式をどう引き継ぐかまで決まっているとは限りません。
そのため、事業承継税制を利用するかどうかを考える前に、一度自社株を評価しておくことが重要です。
事業承継を考えている岐阜の経営者の方は、少なくとも次の5点を確認してみてください。
「いずれ長男に」
「社員の○○さんに任せたい」
という段階から、具体的に誰へ経営権と株式を渡すのかを決めていく必要があります。
数年前に評価した会社でも、利益の蓄積によって株価が大きく変わっている場合があります。
まず現在地を知ることが重要です。
特例承継計画の提出期限だけを見ていてはいけません。
特例措置を利用するためには、令和9年12月31日までの贈与・相続等が対象です。
9月30日ではなく、12月31日までを含めて逆算する必要があります。
すでに特例承継計画を提出している会社でも、提出後に後継者や承継時期が変わっているケースがあります。
特例承継計画には変更手続もありますので、過去に提出済みだから何もしなくてよいとは限りません。
事業承継では、どうしても自社株に意識が集中します。
しかし、経営者個人には、
・自宅
・土地
・預貯金
・生命保険
・会社への貸付金
・その他の金融資産
などが残ります。
自社株を後継者へ集中させた結果、他の相続人との財産バランスが大きく崩れることもあります。
したがって、事業承継は会社だけでなく経営者個人の相続まで一緒に考える必要があります。
今回の期限延長を知ると、
「とりあえず特例承継計画だけ出しておけばいいのでは?」
と考えたくなるかもしれません。
しかし、本来考える順番は逆です。
まず、
誰に会社を継がせるのか。
次に、
自社株はいくらなのか。
そして、
いつ、どのような方法で株式を渡すのか。
そこまで整理した上で、事業承継税制を利用することが会社と後継者にとって適切なのかを判断します。
特例承継計画を提出しただけで、事業承継税制の適用が完了するわけでもありません。
制度を使うこと自体を目的にするのではなく、会社を次の世代へどう引き継ぐかという全体設計の中で制度を利用するかを判断することが大切です。
特例承継計画の提出期限が令和9年9月30日になったからといって、令和9年まで何もしなくてよいわけではありません。
むしろ、
後継者は決まっているが株式については何もしていない
会社は息子に継がせる予定だが、自社株評価をしたことがない
という会社ほど、令和8年のうちに一度確認しておくことをおすすめします。
特に自社株評価をしてみると、事業承継で本当に対策すべき問題が初めて見えることがあります。
みずほ会計事務所では、瑞穂市を中心に、岐阜市、本巣市、北方町など岐阜県内の中小企業について、自社株評価から事業承継まで一体として検討しています。
期限直前に「間に合うか」を考えるより、今の段階で一度現在地を確認しておく方が、選択肢を多く残すことができます。
事業承継税制を利用して後継者への自社株承継ができたとしても、それで経営者個人の相続対策が終わるわけではありません。
むしろ、
「会社の株式は後継者へ渡せた」
その後に残るのが、経営者ご自身の相続です。
自宅、土地、預貯金、保険、会社への貸付金。
そして、後継者以外のお子さんへの財産分け。
会社を守るために行った事業承継が、将来の相続で家族間の問題につながらないよう、事業承継と相続は一続きで考える必要があります。
自社株を後継者に渡した後、経営者ご自身の相続はどうなるか。
事業承継を考え始めた今だからこそ、一度そこまで確認してみてください。
→ 相続税申告について詳しくはこちら
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