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飲食料品の消費税率を1%へ引下げ案|「実質ゼロ」との違いと岐阜の事業者への影響【2026年10月・法案段階】

  • 投稿:2026年10月24日
飲食料品の消費税率を1%へ引下げ案|「実質ゼロ」との違いと岐阜の事業者への影響【2026年10月・法案段階】
この記事の要点

飲食料品の消費税率1%への引下げと「実質ゼロ化」の違い、事業者の経理・申告への影響を解説します。2026年10月24日時点では法案段階です。

  • 税率1%と所得に応じた支援金を組み合わせる案で、店頭の税率0%とは異なります。
  • 適用予定は2027年4月1日~2029年3月31日の2年間。まだ法律は成立していません。
  • 本則課税・簡易課税で影響が異なり、飲食店では納付額が増える場合があります。
  • 請求書、レジ、会計ソフトの税区分と、返品・経過措置への対応を確認しましょう。

飲食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる政府法案を解説。実質ゼロ化との違い、2027年4月から2年間の適用案、仕入税額控除・簡易課税・請求書処理への影響を整理します。※2026年10月24日時点では法案審議中です。

最終確認:2026年10月24日/政府法案・改正案に基づく解説

この記事の制度は、まだ成立した法律ではありません。政府が国会へ提出した法案や公表済みの改正案を説明しています。税率引下げの実施・期間・特例は、今後の国会審議等により変更される可能性があります。現時点の請求や会計処理を1%に変更するものではありません。

「飲食料品の消費税がゼロになる」という話を聞き、「お店では消費税を受け取らなくてよくなるの?」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

今回の政府案は、対象となる飲食料品の税率を8%から1%へ引き下げ、所得に応じた支援金を組み合わせるものです。税率そのものを0%にする案とは、請求書や申告の扱いが異なります。岐阜県内の食品販売店、食品製造業、飲食店をはじめ、中小企業・個人事業主が確認したい点を整理します。

政府が提出した法案と、まだ確定していないこと

政府は2026年10月9日、飲食料品の消費税率の臨時的引下げと就業者負担軽減支援金に関する法律案を閣議決定し、国会に提出しました。衆議院の審議経過では10月20日の財務金融委員会への付託が確認できますが、10月24日時点で成立・公布の記載はありません。[1・2]

まず確認|決まっていること・今後の確認事項
区分内容
確認できる事実法案の閣議決定・国会提出、委員会付託。
政府が示す制度案対象飲食料品の税率を国・地方合計で1%へ引下げ。所得に応じた支援金を組み合わせる。
成立を前提とする適用予定2027年4月1日~2029年3月31日の2年間。
今後確認する事項成立法の最終内容、政省令・経過措置の詳細、支援金の個別の対象・金額・申請方法、実務上の取扱い。

「税率1%」と「実質ゼロ化」は何が違う?

図解|「実質ゼロ化」は2つの施策の組合せ

お店での取引
8% → 1%対象の飲食料品の税率を引下げ
所得に応じた支援
+ 支援金対象・金額は所得等の条件による

2つを合わせて「実質ゼロ化」を図る方針

※店頭の税率が0%になる意味ではありません。法案段階の説明です。[1]

税率1%は、お店での取引に適用する税率の案です。一方、「実質ゼロ化」は、税率引下げと所得に応じた給付を合わせた政策全体の説明です。レジで誰でも0%になる、購入のたびに1%分が全額返金される、という意味ではありません。

内閣官房は、飲食料品の消費税1%相当分の範囲内で所得に連動する給付を2027年度に先行導入し、全体として実質ゼロ化を図る方針を示しています。給付の対象や金額は所得などの条件によって異なるため、すべての人に購入額の1%がそのまま支給されると考えないようにしましょう。[1]

価格の例|税抜1,000円を維持する場合

現行・8%
1,080円
本体1,000円 + 税80円
引下げ案・1%
1,010円
本体1,000円 + 税10円

支払額は70円減少(約6.48%減)。0%の場合の1,000円とは異なります。

対象は現在の軽減税率対象の飲食料品です。通常の食品販売やテイクアウトは1%の対象案ですが、店内飲食・酒類は原則10%のままです。新聞の定期購読は今回の飲食料品の引下げ対象ではなく、8%が残ります。[3]

取引ごとの税率を比較(成立した場合の案)[3]
取引の例現行引下げ期間の案
食品販売・テイクアウト8%1%
店内飲食・酒類10%10%
新聞の定期購読(軽減税率対象)8%8%

※原則的な区分です。一定の契約には旧税率を適用する経過措置案があります。

税率が下がると、売上や利益はどうなる?

税率引下げだけで売上や利益が自動的に増えるわけではありません。税抜価格1,000円を維持する例では、税抜経理上の売上は1,000円のままです。税込価格を維持する場合には税抜金額が変わるため、値付け、原価、販売数量、競合店の対応まで含めた検討が必要です。

瑞穂市や岐阜市の惣菜店・パン店なら、持ち帰りと店内飲食の価格設定を確認します。食品と日用品を扱う小売店は商品別の税区分を、食品製造業・卸売業は得意先との税抜・税込契約を整理しておきましょう。

本則課税:仕入税額控除は続く一方、業態で影響が変わる

本則課税は、売上に係る消費税から、控除できる仕入れ・経費の消費税を差し引く計算です。1%への引下げ案は非課税化とは異なり、対象売上も課税取引です。帳簿・インボイスの保存等の要件を満たす仕入税額控除が、一律に使えなくなるわけではありません。[3・4]

売上に係る消費税 − 控除できる仕入れ・経費の消費税
= 納付額(差額がマイナスなら還付の可能性)

※帳簿・インボイスの保存等の要件を満たすことが前提です。

食品販売・製造業:還付となる可能性

対象食品の売上税率が1%になる一方、包装資材・機械・電気代などには10%の支出が残ります。控除できる仕入税額が売上税額を上回れば、本則課税の申告で還付となる可能性があります。ただし、すべての事業者に還付が出るとは限りません。

飲食店:店内飲食が中心なら納付額が増える場合も

店内飲食の売上税率が10%のまま、対象食材の仕入税率が8%から1%へ下がると、差し引ける仕入税額が減ります。そのため、本則課税では納付税額が増える場合があります。

飲食店の計算例|税抜売上100万円・対象食材の税抜仕入40万円
項目現行引下げ案
売上に係る消費税(10%)100,000円100,000円
食材の仕入税額32,000円(8%)4,000円(1%)
差引納付額(他の控除を除く)68,000円96,000円

比較グラフ|差引納付額は28,000円増える例

現行 68,000円
引下げ案 96,000円

横棒の基準:左端0円/右端100,000円。上記の仮定例に基づく計算です。

納付額の増加 = 同額の利益減少、ではありません。
税抜仕入価格が同じなら、食材の支払額も28,000円減少。仕入支払額と納税資金を合わせて確認します。

ただし、税抜仕入価格が同じなら食材の支払額も2万8,000円減ります。納付額の増加だけを見て同額の利益減少と判断せず、仕入支払額と納税資金を合わせて確認してください。これは制度案と本則課税の仕組みに基づく試算であり、実際の申告額には他の経費・取引条件等も影響します。

簡易課税・免税事業者には、改正案の特例にも注意

国税庁の2026年9月資料は、大綱段階の改正案であると明示した上で、次の特例を説明しています。成立後の確定した制度として扱わず、最終内容を再確認する必要があります。[3]

  • 簡易課税の計算:1%対象の飲食料品販売は、業種区分にかかわらず、その売上税額と同額を仕入税額として計上する案です。したがって、この売上部分の差引税額はゼロとなる設計です。他の売上部分には通常のみなし仕入率による計算等が残ります。
  • 還付との違い:上記特例でも、実際の仕入税額に基づく還付を受ける制度にはなりません。本則課税との比較が必要です。
  • 本則課税への変更:対象飲食料品を販売する簡易課税事業者について、2027年4月1日を含む課税期間中の届出で、その課税期間から本則課税へ変更できる特例と、当該期間の簡易課税の2年間継続要件を適用しない特例が示されています。
  • 免税事業者の選択:対象飲食料品を販売する免税事業者が、同日を含む課税期間中の届出で、その課税期間から課税事業者を選択できる特例も示されています。

免税事業者は、免税のままでは仕入税額の還付を受けられません。課税選択には申告負担や継続適用の制約が伴います。また、個人事業者が課税期間全体について課税選択する場合、1~3月の8%売上も計算に含まれるため、4月以降だけを見て有利と判断しないことが大切です。

請求書・レシート・会計ソフトはどう準備する?

インボイス制度がなくなる案ではありません。国税庁の改正案資料では、対象販売の適用税率・税額を1%に対応させ、それ以外の基本的な記載事項は変えないと説明しています。[3]

  • 税率別に区分:1%対象食品、8%が残る取引、10%の取引をレジ・請求ソフト・会計ソフトで区分できるか確認します。
  • 取引日を確認:請求書の発行日や入金日だけで税率を決めません。原則となる販売等の時点に加え、経過措置を確認します。
  • 返品・値引き:8%で販売した商品の返品等を、変更後だからと1%で処理しないよう、元取引の税率を追跡します。
  • 契約を点検:改正案には一定の定期供給契約・通信販売に旧税率8%を適用する経過措置があります。4月以降の販売をすべて機械的に1%へ変える処理は避けます。

例えば、税抜の食品仕入1万円なら1%の税額は100円、10%対象の備品仕入1万円なら税額は1,000円です。両方を同じ税区分で入力しないようにします。MJSやマネーフォワード等をご利用の場合も、メーカーの正式な対応案内と更新時期を確認し、適用日を設定した上でテストすることが必要です。

岐阜の事業者が、今から整理しておきたいこと

  1. 自社の申告が本則課税・簡易課税等のどれか確認する。
  2. 食品販売・店内飲食・その他の売上と仕入れを分けて把握する。
  3. 税抜価格を維持する場合と税込価格を維持する場合の利益・資金繰りを試算する。
  4. レジ、請求書、受注システム、会計ソフトの対応可否を確認する。
  5. 法案成立後に適用期間・特例・届出期限を再確認し、2029年3月末の終了時の対応も予定する。

みずほ会計事務所では、瑞穂市・岐阜市・大垣市・本巣市・北方町などの中小企業・個人事業主について、税務申告や日々の経理、資金繰りのご相談を承っています。「自社では納付が減るのか、増えるのか」「簡易課税のままでよいか」などは、売上・仕入れの内訳をもとに確認しましょう。

みずほ会計事務所の税務顧問サービスはこちら

参考資料

  1. 内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」について(政府方針・法案提出の案内)
  2. 衆議院・第222回国会 閣法第1号 審議経過
  3. 国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(2026年9月)(大綱に基づく改正案の説明。法律の成立を前提とする資料)
  4. 国税庁「インボイス制度について」

本記事は、作成・更新時点で公表されている情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成しています。法令・制度・運用等の変更により、内容が変わる場合があります。個別の事案への適用については、最新の公表情報をご確認のうえ、税理士等の専門家へご相談ください。本記事の情報を利用したことにより生じた損害等について、当事務所は責任を負いかねます。

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